BAT・TMD・PKQ:中国巨大IT企業群

アメリカの巨大IT企業達をGAFAM(Google・Apple・Facebook・Amazon・Microsoft)と日本では呼びますが、中国ではBAT(Baidu・Alibaba・Tencent)が日本でも有名ですね。

以前からNext BATとして、TMD(今日頭条/Toutiao・美団点評/Meituan Dianping・滴滴出行/Didi Chuxing)、更に、PKQ(拼多多/Pinduoduo・快手/Kuaishou・趣頭条/Qutoutiao)といった企業群が挙げられます。

それぞれ簡単に一言で紹介する事は中々難しいですが、この記事では概要だけ簡単に紹介していきます。

※Googleを紹介するとしたら、一言で言えば、「検索エンジンのGoogleを運営」ですが、GmailやCalendar、Chromeブラウザ、Andoroid、Youtube等々・・・このサイズになっている巨大企業を一言で説明するのはとても難しいです。

BAT

百度/Baidu(バイドゥ)

BATに関しては、説明不要な部分がありますが、一応サラッと確認していきます。

Baiduは一言で言えば中国版Googleで、スタートは検索エンジンから始まっており、現在でも中国でトップシェアを誇る検索エンジンとなっています。

その他にもMapやクラウドストレージ、QAサイト(知乎)や中国版Wikipedia(百度百科)なども運営しています。

ただ、最近では「BATのBはByteDanceのBだ」と言われるように、やや勢いが無くなっていることも指摘されています。

阿里巴巴/Alibaba(アリババ)

ソフトバンクが投資していたこともあり、日本でもかなり有名なAlibaba。

主力事業はC2CのECモールであるTaobao/B2CのTmallで、GMV(流通取引総額)ではAmazonを超える世界最強のEC企業です。

※2019年は93兆8300億円。Amazonは74兆7120億円。ちなみに楽天は3兆9000億円。

もう一つの側面として、グループ会社にAnt Financalを持っており、Alipayによる決済機能を提供しています。Alipayは単なる決済アプリとしてでは無く、広い意味では銀行を進化されたような次世代金融インフラに近い存在になろうとしています。

腾讯/Tencent(テンセント)

メッセージングアプリのWechatが主力事業となるTencent。元々はQQというPC用のメッセンジャーを提供していた会社でした。

このWechatに付随するWechat Payは元々はAlipayの後塵を拝していましたが、今では市場を二分するような地位を確立しています。

もう一つの顔としては、世界最大のゲーム会社という顔を持っており、「PUBG MOBILE」を始めとした有名タイトルに加えて、Epic GamesやSupercellなどといった海外の有力なゲーム企業にも資本を入れています。

TMD

今日頭条/Toutiao(トウティァオ)

中国版Smart NewsがJinri Toutiaoで、運営しているのはショート動画SNSのTiktok(ティックトック)も運営しているByteDance(バイトダンス)です。この3つのキーワードの中では最も馴染みの無いToutiaoで登場してしまいましたね。(笑)

Toutiaoは、AI、機械学習が特徴と言えるニュースアプリで、徹底的にパーソナライズされている点が評価されています。実はByteDanceは機械学習によってトラフィックを最大化するのに優れた会社で、Tiktokもそのアプローチで、他にも西瓜視頻/Xiguashipinを始めとした様々なプロダクトを出しています。

最近では、頭条捜索という検索エンジンも新たにリリースしまていますね。

美団点評/Meituan Dianping(メイトゥアン・ディエンピン)

Meituan自体は、元々クーポンサイトで、途中からフードデリバリーサービスを始め、口コミサイトだった太衆点評を買収し、現在に至ります。

日本ではイメージしくにい部分もありますが、食べログ+UberEatsというのが一番近い表現でしょうか。

グルメに加えて、映画・航空券・配車という領域でも口コミ+予約サービスを展開しています。

Meituanの強みとしては、実は供給側・企業サイドにも採用・POS・支払い・マーケティングなど様々なツールを包括的に提供しています。ユーザー向けのアプリという側面に加えて、中小零細企業向けの支援ツールを充実させている為、この戦略が届く範囲で更に事業領域を広げていく可能性があります。

滴滴出行/Didi Chuxing(ディディ)

ソフトバンクが5650億円(!!)投資しており、日本でもサービス展開していますね。配車アプリのDidiです。Paypayと連携していますね。

Tenecentが投資した嘀嘀打車とAlibabaが投資した快的打車が合併し、更にUberの中国事業を買収したのが現在のDidiです。ここに至るまで、中国の配車アプリは数百億単位の資金調達をし、ユーザー及び事業者を囲い込む消耗戦を展開していましたが、これで一旦落ち着きました。

その後、Meituanが配車アプリに参入してきているので、今後の動向が注目されます。

PKQ

拼多多/Pinduoduo(ピンドウドウ)

2015年に創業し、中国のECの2大巨頭、AlibabaとJD.comに迫るで急成長したのがPingdoudouです。形態としては、グルーポンに近い共同購入アプリになります。Wechat上のミニプログラムとして、中国最大のユーザー数を持つWechatのユーザーを上手く取り込む形で急成長を成し遂げました。

Wechatを運営するTenecent自身もPingdoudouに投資し、現在でも16.5%の株式を保有する大株主です。

AlibabaやJD.comが大都市圏をターゲットにするのに対して、Pingdoudouは小規模都市圏をターゲットに比較的安価な生活用品を、一定の人数で共同購入することで割安に買えるという他には無い強みを提供して成長してきました。

この形態は再度脚光を浴び、今後他の企業もPingdoudouの共同購入領域に参入を続けています。

快手/Kuaishou(クアイショウ)

ByteDanceの中国版Tiktok、Douyin(抖音)に次ぐ二番手のショート動画アプリです。Tiktokとの違いは、ユーザー層にあると言われており、Tiktokは都市圏、Kuaishouは地方のユーザーが多く、Tiktokはインフルエンサーが話題を集めるのに対して、Kuaishouは普通の人の動画でも大きな注目を集めることが出来ると言われています。

個人が投稿した動画に対しても収益分配がなされる仕組みが出来ています。また、最近ではライブコマースに力を入れており、著名人を集めると同時に、メインのユーザーである“普通の人”に近い中小規模の出店者が利用するライブコマースのプラットフォームとしての地位を確立しようとしています。

趣頭条/Qutoutiao(クヴトウティオ)

こちらもByteDanceのToutiaoに次ぐ二番手のニュースアグリゲーションアプリです。2018年9月14日に創業から2年3カ月という中国IT企業最速と言われるスピードで上場を果たしました。Qutoutiaoが急成長出来た要因として挙げられるのが、一つは地方都市をターゲットとしたこと。もう一つがユーザーに対してインセンティブを還元してきたことです。最も代表的な事例としては、アプリを開くだけで18元(約280円)を報酬として与えてきたことです。そのほかにも、記事を読むだけで報酬が貰える仕組みであったり、メディア以外の個人が記事や動画を投稿し、そのPVに応じて広告収入を還元する仕組みがあったりします。

上場後も赤字が続いていることから、この施策に限界があるのでは、という声も出てきています。

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